ハイパーインフレが起きたらどうしよう?個人投資家が取るべき対策

日本政府の発行する国債が膨らみ続け、ハイパーインフレの懸念を指摘する人が増えてきています。ハイパーインフレとは、お金の価値が暴落することです。お金の価値が下がると、物の値段は上がります。行き着くところまで行ってしまうと、ジンバブエドルみたいになりかねません。

Wikipedia ジンバブエ・ドル

非公式ですが、ジンバブエドルのインフレ率は 897 垓%になったそうです。単位がおかしい。物価は約 8 垓 9700 京倍= 8.97×10^20 倍になりました。もし日本がこんなインフレ率になったら、10円だったうまい棒一本が現在の国家予算でも買えなくなります。要するに、お金の価値が暴落するというか、お金に価値がなくなるということです。

そんな心配がメディアで囁かれる中、ここ最近の株価上昇ラリーを個人投資家は楽しんでいます。今は金融緩和+円安を大いにエンジョイすれば良いのですが、もし日本がハイパーインフレになったとしたらどうするのか?これをそろそろちゃんと考えておく必要があるかと思います。

今までも、国の借金が多いとか少子高齢化が厳しいとか、日本の財政不安について色々言われてきました。今回の国土強靭化などのデフレ脱却が失敗し、かつ構造改革や規制緩和・需要創造などの政策が実を結ばなかったとしたら、国の借金が増えて終わるわけです。

仮にそうなってしまったら、歓迎なんて言っていられないぐらいガツンと円安になります。ガソリンが高騰します。国債金利は急騰し、インフレターゲット以上のインフレになります。物価が上がり、でも景気は悪いというスタグフレーションになる可能性もあります。現状、日本は原発停止により発電のための天然ガスなどを輸入していますが、買えなくなります。電気が止まったり、食料品が手に入らなくなったりして、日本という国は大きく揺らぐことになるはずです。

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ギリシャのドラクマ

ギリシャが、ユーロ圏から離脱する直前までいく瀬戸際外交で世界を震わせましたよね。ギリシャがもし仮にユーロから離脱せざるをえなくなったら、元々の自国通貨であるドラクマを使うようになり、そのドラクマの価値が暴落すると言われていました。インフレです。

ギリシャのドラクマが激しいインフレに見舞われることは間違いないのですが、ハイパーインフレまでいくのかどうかについては意見が分かれているようです。まぁ、これはハイパーインフレが果たしてどれくらいのインフレを指すのかという定義の問題になってしまうのですけど。インフレで国民の生活が大変にはなるものの、ドラクマ安で観光産業が栄えればギリシャは復活できる、というのが多数派みたいです。

タンス預金は致命的なダメージを受ける

経済が悪くなって通貨が不安定になったとき、銀行から引き出せる金額が制限されることがあります。通貨が銀行からみんな一斉にお金を引き出すと、銀行にお金がなくなってしまうからです。そんなときに備えるひとつの方法としてタンス預金があります。タンス預金とは、原因を自宅の金庫などに置いておくことです。そうすることで、国や銀行が自分の口座へのアクセス制限をしてもそれを回避できます。

しかし、ハイパーインフレが起きた場合、現金の価値が暴落します。もしそうなってしまったら、お金が銀行口座に入っていても手元にあっても変わりませんね。。。。ただし、価値がさらに下がる前にタンス預金を使って食料を蓄えるとか、そういうアクションは起こせるかもしれません。

ハイパーインフレ対策=外貨を持つ

個人投資家がインフレ対策するにはどうすれば良いか?答えはカンタンで、外貨を保有すれば良いだけです。ドルとかユーロとかフランとか、円以外の通貨を持つことです。ハイパーインフレは円の価値が下がるということなので、円以外の通貨にすることで、円が紙切れになってしまうリスクをヘッジできます。インフレヘッジです。

外貨を持つことのメリット・デメリットは、ともに為替リスクを背負うということです。外貨を持っている状態で円高になれば損失だし、円安になれば利益が出ます。ハイパーインフレで極端に円安になるリスクを回避するために、為替変動のリスクを取りに行きましょう。これからの未来で、また極端な円高局面が来るとは考え辛いと思いますし。

通常のインフレ対策=株式・不動産を持つ

ハイパーインフレではなく一般的な範囲内のインフレであれば、株式もしくは不動産を持つことで対策可能です。アベノミクスが提唱している 2%のインフレというのは、当然一般的なレベルのインフレです。

インフレ=お金の価値が下がることです。企業は機械や設備など色々なモノを所有しています。お金の価値が下がったとき、企業がすでに所有しているモノの価値は逆に上がります。それから、企業が販売するサービスの価格がインフレで上昇するため、売上や利益は増加することになります。このため、株式はインフレに強いと言われています。

株式投資を始めるために証券会社を選んで、とりあえず口座を作ってみて、何かしらの株式をほんの少し所有するだけでも世界がわずかに変わるはずです。

個人投資家の資産づくりの教科書

日本円以外の外貨を持てばいいのはわかったけど、具体的にはどうすればいいの?という方は、内藤忍さんの本「資産設計塾 第4版」を読んでみると良いと思います。「自分の資産を守り殖やしていく方法」について、心構えから具体的な方法まで一通り書いてある良書です。

内藤忍の資産設計塾【第4版】 (豊かな人生に必要なお金を手に入れる方法)

日本の国家破産に備える資産防衛マニュアル

さらにもう一冊、これからの日本経済の未来について、3つのシナリオを想定し、どうすべきか書かれた本が出版されました。

  • 楽観シナリオ アベノミクスが成功して高度経済成長がふたたび始まる
  • 悲観シナリオ 金融緩和は効果がなく、円高によるデフレ不況がこれからも続く
  • 破滅シナリオ 国債の暴落(金利の急騰)と高インフレで財政は破綻する

著者の橘玲さんによると、ネット証券で売っているような 3 つの金融商品だけで、上記の日本経済危機シナリオのリスクに対応できるとしています。一読の価値アリと思います。

日本株100%を辞めて、アセットアロケーションを作る

インフレ対策として「よし、外貨を持とう!」と決めたら、次に、どうやって外貨を持つか、どれくらい外貨を持つかという問題が出てきます。これは、単純にアセットアロケーションを組んでしまえば良いと思います。日本株式、日本債券、外国株式、外国債券、コモディティ、現金などアセットクラスの割合を決めることで効率的フロンティアを目指すというアレです。外国株を個別株式で持つ必要なんて全然無くて、為替ヘッジ無しの ETF や投資信託を利用すれば良いと思います。

もし日本株100%の方がハイパーインフレに備えようとしたら、日本株の割合を減らし、その分外国株式などを買うだけです。日本の個別株投資は、日本株というアセットクラスの割合の範囲内で行なうようにします.アセットアロケーションって、資産運用のリスクリターンを安定させるだけでなく、ハイパーインフレーションの備えにもなるわけです。スバラシイ。

ただ、例えばドナルド・トランプさんが大統領になるとか、中国の不動産バブルが弾けるとか、そういう世界的に大きな出来事が株価に大きな影響を及ぼすことがあります。なので、資金を一度にすべてつぎ込むのはリスクが高く、何回かに分けたほうが良いかと思います。じゃあどれくらいのタイムスパンで何回に分ければ良いのかというと。。。よくわかりません。マーケットタイミングを見計らって安く買う、というのは非常に難しくて限られた人しかできないし、そのできる人でももしかしたらただ運がよかっただけなのかも。

アセットアロケーションを作る!というひとつの正解にたどり着いても、その先に自分の資産を具体的なアセットアロケーションに落とし込むという作業が必要になります。この部分については、自分で勉強するなりプロにアドバイスをもらうなりして自分で納得できる答えを探すしかなさそうです。






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